ひぐまアートワーク。第3弾「ムーミン」 フィンランドに学ぶ教育システム

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「ひぐまアートワーク。」第3弾は「ムーミン」です。

原作はフィンランドのドーベ・ヤンソンさんで、

日本では1990年にアニメで紹介されて、大人気となりました。

 

今回は、そんなムーミンのシルエットを、

針金ハンガーアートで表現してみました。

 

どの線を生かして、どの線を削除するかは、

いろいろ考えたのですが、

お腹の線よりは、背中の線を生かした方が良いかな?と

ほぼ直感で決めました。

「何かを置く」実用性も保つ事ができました。

 

今回は眼鏡とiPhoneを置けるようにしてみました。

私自身、眼鏡をちょこっとはずして、

「あれ? どこに置いたっけ?」

と探しまわる事も多いのですが、

実は頭の上にあった、、、などというのは、

ベタな話ですが、今回はムーミンの頭の上に置いてみました。

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さてムーミンが生まれたフィンランドと言えば、その教育システムでも特筆する事があります。

OECD実施のPISA2003においてフィンランドは、

数学的リテラシー2位(日本6位)、

読解力1位(日本14位)、

科学的リテラシー1位(日本2位)、

問題解決能力3位(日本4位)にランキングし、2000年調査同様、総合で第1位となった事で、世界の注目を集めました。

 

フィンランドの教育システムの特長を以下にまとめてみます。


1 家庭、性、経済状態、母語に関係なく、教育への機会が均等である。

 全ての教育を無償にしていて、どの地域でも教育へのアクセスが可能です。

 大学まで無償である上に、学校は5キロ圏内と法律で定めており、3キロ以内の子どもはスクールバス、3キロ〜5キロ以内の子どもはタクシーにより、公費負担で通学できるようにしています。

 また図書館も充実し、学校教育の中での図書館利用はもちろんの事ながら、家庭での読書がさかんです。

 

2 総合性で選別をしない基礎教育。

 習熟度別編成は「できる子」にはとりたててよい影響を与えず、「できない子」にとっては何らプラスにならないとし、フィンランドでは、平等と共存の思想が国民的合意になっています。

 つまり生徒達が全ての教育段階で互いに影響し合い共同する活動を行うこと。「仲間意識」という考えを大切にしています。


3 テストと序列付けをなくし、発達の視点に立った生徒評価をする。

 これらは教え合い、学び合う中で、より充実した知識を作り上げていくという基本的な指導方略の中で、教師は授業を作り出すようイニシアチブを発揮していながら、管理者とはならず、子どもは学習内容を取捨選択し決定できる主体者となっています。

 社会の中で自分の将来を考えて、仲間と共同し、目標を持って学んでいます。また障がいや学習遅進に対するケアも組織的で、特別支援教師の配置など制度的な教育体制が整備されています。この学習遅進に対する特別授業の利用者は生徒の20%にも及び、一定期間教室内や教室外での授業を受けさせて、早期にクラスに復帰させ、習熟度指導のような固定的なトラッキングとは本質的に異なります。

 本来的な意味で、個に応じた指導と言うことができます。生徒の学習と福祉に対し個人に合った支援をしているのです。


4 高い専門性を持ち、自分の考えで行動する教師。

 教師資格には大学院卒業が必要です。

 教員の本務は授業であり、授業以外の負担はできるだけ少なくするという原則が生きています。フィンランドでは先生方が教科指導への研究時間を多くとることができ、それが子ども達の学力につながっています。

 教師の社会的なステータスも高く、教職が高校生の希望職種の1位となっていることで、人材確保という意味でも教師の質を高める好循環を生んでいます。


5 全体は中央で調整されるが、実行は地方でなされるというように、教育行政が支援の立場に立ち、柔軟である。

 行政側は教師の能力を信頼し信用しています。高い能力を持った教員養成のシステム作りの結果、教員の創造性を発揮させ、教育を活性化するという好循環を起こすことができ、政府は管理ではなく、地方や現場を支援するという姿勢に立つことができています。


6 社会構成主義的な学習概念。

 学びの「量」から「質」への転換が求められる21世紀の教育において、プロジェクト型のカリキュラムと共同学習の展開が行われていて、習熟度に分けることでは不可能な授業の実践を可能にしています。つまり知識は中立のものではなく、ただ一つというわけでもなく、しかも社会的な脈絡の中で作られるものとする考え方でです。

 また教科書は一つの資料、案内であり、検定もなく自主採択であり、教科書を使って学ぶことはあっても、何が何でも教科書を覚え、教科書を学ぼうという姿勢はありません。それは教育省が「社会構成主義」をとっているからであり、国には知識を管理しようとする発想はないのです

 

 

 現場の中学校教員として、フィンランドの教育は本当に参考になります。現場の教員はもちろんの事ながら、教育施策を立てる人たちこそ、今、教育に何が大切なのかという事を真剣に学び、考えてほしいと心より思います。

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